離島が多い-沖縄県保健医療対策の現状-

沖縄県は、古来よりアジア各国と盛んに交流しており、国際色豊かな独自の文化を築いてきた稀有な土地です。首里城跡を始めとする、いくつもの世界遺産を擁するだけでなく、ダイビングに代表されるマリンスポーツのメッカでもあります。この記事では、「沖縄県の保険医療対策の現状と課題」を参考に、常夏の島と称される沖縄の保険医療対策について言及いたしましょう。

沖縄県の保健医療対策から見る医療提供体制の現状

まず始めに、沖縄県における医療提供体制の現状についてご説明いたします。沖縄県の医療提供体制の特徴として、他府県と比較して県立病院のシェアが非常に高いことが挙げられます。これは本土復帰当時の沖縄の医療事情に起因しており、当時立ち遅れていた沖縄の医療事情の整備のため、県立病院主導で医療提供体制を構築してきたからに他なりません。また沖縄県では、北部・中部・南部・宮古・八重山に5つの二次医療圏を設定し、それぞれに総合病院を設置することで医療サービスを提供しています。医師数に関しては人口1000人あたり2.16人となっており、全国平均である2.17人とほぼ等しいのですが、沖縄本島の南部医療圏に医師が集中しているため、他の地域や離島での医師確保に難のある状態です。

医療的観点から見る沖縄県の人口と高齢化の現状

推計によると、沖縄県の人口は2020年まで増加を続け、団塊の世代全員が65歳以上の高齢者となる2025年の人口は、1,414,000人となる見込みです。しかし増加していくのは65歳以上の高齢者人口であり、生産年齢人口に当たる15〜64歳以上人口は、既に減少傾向にあります。その結果2025年には、県民の4人に1人が高齢者となる見込みです。他府県と同じく、高齢者単身世帯と高齢者のみの世帯数が増加するため、医療需要に大きな変化が起こり、医療資源確保が困難になることが予想されます。

県内の保健医療対策から見る離島の医療提供体制

沖縄県はその地勢から離島を含む僻地が多く、2014年時点において、4ヶ所の無医地区が存在しています。2007年時点では8ヶ所であったことを鑑みると、改善がなされていると言って良いでしょう。また離島で診療にあたる医師は、代診医が来ない限り島を離れることが難しく、休日の取得や出張対応に苦慮していました。

そうした医師達の勤務状況を改善するために、6ヶ所のへき地医療拠点病院を指定し、離島の医師が休暇を取る際にそれぞれの病院から代診医を派遣しています。しかし人手不足の離島に医師を派遣する側である県立病院側においても、医療資源の枯渇が発生しているため、本来期待されたレベルでの運用がなされていないという現状があります。離島を含む八重山医療圏では、八重山病院が唯一の総合病院となっており、離島間・島外への急患の搬送は、海上保安庁保有のヘリコプターを中心として行なっていましたが、2008年にドクターヘリが配備され、自衛隊ヘリと協力して離島・へき地における救急医療体制の拡充が進められています。