負担度は比較的軽い!-長崎県内の産科・小児科医療の現状-
長崎県内の産科・小児科医療の現状
それでは最後に長崎県の産科・小児科医療の現状についてご紹介いたしましょう。
全国的に医療資源が枯渇しており、苦しい現況に立たされていることの多い産科・小児科ですが、長崎県は他府県とは違い、医師1人にかかる負担度は比較的軽いと言えます。
長崎県内の小児科医の負担度は比較的軽減方向にある。
長崎県内における小児科医数は九州内では比較的潤沢で、人口1,000人あたりの小児科医は12.6人と福岡県・大分県に次ぐ人数となっています。この状況の要因としては、小児科医が担当する15歳未満人口が減少を続けているにも関わらず、小児科医数がほぼ横ばいのまま推移していることが挙げられるでしょう。長崎の小児科事情で解決すべき問題は医師不足ではなく、非常に大きな地域格差にあると言えます。
長崎県が擁する小児科医は184人となっており、その内79人が長崎圏、51人が県央圏、32人が佐世保圏に存在し、実に全体の88%程度が都市部3圏に集中しています。確かに県北圏・離島圏は15歳未満人口が少ないのですが、これほどの極端な医師の偏在は、到底看過できるものではないでしょう。適正な医師の配置による地域格差の是正は急務と言えます。
長崎県内の産科医の一人当たりの分娩取扱数は九州最少
長崎県の産科医は現在減少傾向にあり、10年で20人近く減少しています。しかし九州各県と長崎県の人口10万人あたりの産科医数を比較すると、長崎県は9.9人となっており、九州平均の8.4人を上回る水準を維持しています。医師数の減少を出生数の減少が上回っていることからも、他県より産科医1人あたりの負担は低いと言えるでしょう。
また長崎県の産科医は全体の57%が開業医で、総分娩取扱数の67%を担っています。そのため勤務医の負担が提言されていると言えるでしょう。開業医は正常分娩を行い、異常分娩やハイリスクな分娩に関しては勤務医が行なっており、機能分化がシステムとして確立されています。しかし小児科医と同じく、地域格差の是正はある程度必要と言えるでしょう。
そして小児科と同じく、長崎圏佐世保圏・県央圏に、産科医全体の80%が集中しており、他圏には数人の産科医しか存在していません。現状のままでは、産科に関わる医療の空白地帯が増加することとなり、出産できない地域が広がってしまいます。地域格差を是正し、適正な周産期高度医療体制を構築するためにも、強固な周産期医療ネットワークの整備の水深が必要とされているのです・
既に長崎県では、3ヶ所のMFICU(母体・胎児集中治療管理室)を設置し、周産期における高度で且つ集中的な治療を提供していますが、さらに4ヶ所の地域周産期母子医療センターを認定し、地域の診療所・病院・総合周産期母子医療センターのネットワークを進めています。